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【勉強会レポート】“コミュニティナース”と考える 〜地域やお寺が元気になるヒント〜

  • templeonlinesalon
  • 2024年12月9日
  • 読了時間: 7分

2024年11月20日、オンラインにて「“コミュニティナース”と考える 〜地域やお寺が元気になるヒント〜」の勉強会を開催しました。


「コミュニティナース」の取り組みを全国で推進されている矢田明子さんと、三重県善西寺にて「コミュニティナース」の活動をされている「SUNシャインズ」の皆様、矢田俊量住職をゲストにお招きし、お話を伺いました。


勉強会には、60名を超える方々にお申し込みをいただき、ご一緒に学ばせていただきました。


ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。


◆コミュニティナースとは


「コミュニティナース」とは、「人とつながり、まちを元気にする」取り組みです。


日々の暮らしの中で、そこにいる方々の「嬉しいや楽しい」を地域住民と一緒につくり、「心身や社会的な健康」を育んでいく取り組みであり、コンセプトです。


▼コミュニティナース ポータルサイト https://community-nurse.jp/


この数十年で、家族の小規模化や、住む場所や仕事の流動化などにより、日本では人と人との縁の希薄化が進んでいます。


孤独や孤立を感じる方も増えていると言われ、そんな日本において「コミュニティナース」は、社会的なインフラにもなるような、大切な取り組みだと感じます。


◆コミュニティナース着想の原点


矢田さんが生まれ育った島根県出雲市の地域では、隣近所に商店やお寺などがあり、地域に困った人がいれば、「あの人が助けになってくれるかもしれない」ということがよく分かるような関係性の中で、矢田さんは育ったといいます。


しかし、矢田さんの父が55歳で癌になった時には、色々な症状が出ていたにも関わらず、病気や健康についての知見を持った人が自分や家族も含め地域にはおらず、病院も離れた場所にあったそうです。


身近に様々な職能をもった方がいて、日頃から助け合うような関係性のある地域だったのにも関わらず、なぜ病気や健康に対しては、その力が発揮されなかったのだろうか、そういう地域であれなかったのだろうかということが、矢田さんの大きな問いとなったそうです。


そうした経験が、「コミュニティナース」の着想の原点となり、矢田さんはその後、看護や公衆衛生を学び始め、学びながら町にも立つようになったといいます。


◆地域住民と一緒に嬉しいや楽しいをつくる


そうして「コミュニティナース」の取り組みを始めて十数年、現在は「コミュニティナース」の研修を受けた方は1,000名を超え、日本各地で活動をされているそうです。


ただ、専門職の方々だけで取り組もうとするのではなく、地域住民の方々と一緒に「嬉しいや楽しい」をつくるということを大切にされ、「一億総コミュニティナース」を目指されていることが印象的でした。


この日は、矢田さんから取り組みの事例もご紹介いただきました。


生協の移動販売を通じて、地域の方々の健康に気を配っているコミュニティナースの事例。


限界集落地域にお祭りを復興して、周辺地域の子どもたちや高齢者が笑顔になった事例。


ニューヨークで長年アーティスト活動をしていた日本人女性の「日本で最後を迎えたい」という思いをかなえるため、地域の方々と看取りをした事例など。


数ある取り組みの事例から、いくつかをご紹介していただきました。


◆看仏連携


「人とつながり、まちを元気にする」取り組みである「コミュニティナース」。


地域の中に存在し、そこに人が集い、コミュニティを形成している「お寺」とも、方向性を同じくし、親和性が高い取り組みだと思います。


三重県桑名市にある善西寺では、「コミュニティナース」と連携した「看仏連携」の取り組みをされています。


この日の勉強会では、住職の矢田俊量さんと、善西寺で「コミュニティナース」の活動をする佐藤美佐子さん、岡田正子さん、鈴木裕美さんの「SUNシャインズ」の皆さんも、お話をしてくださいました。


▼善西寺/SUNシャインズ


善西寺では、「コミュニティナース」の佐藤さん、岡田さん、鈴木さんが集い、毎月1回、「つながりカフェ」を開催されているそうです。


ある時、矢田住職がお参りをしている時に、夫を亡くしてふさぎ込んでいる信徒の方がおられたので、「つながりカフェに来てみたらどうですか?」と声をかけたそうです。


するとその方は、「つながりカフェ」に足を運び、コミュニティナースの方々と一緒に編み物をしたり、お話をしたりして、表情が少しずつ晴れやかになっていったそうです。


そして、それから毎月のように参加されるようになったと言います。


「つながりカフェ」のような場があることで、信徒や地域でこうした場を必要とされる方々の居場所や受け皿ともなっていると感じました。


また別の日には、長く仕事に就くことができていない息子様とそのご両親が、「つながりカフェ」に来られたそうです。


佐藤さん、岡田さん、鈴木さんが、それぞれお父様、お母様、息子様と分かれてゆっくりとお話を伺われたそうです。


息子様には息子様の悩みが、親御様には親御様の悩みがあることでしょう。


そのそれぞれの悩みや思いに対して、ゆっくりと耳を傾けてくれる場所は、中々ないかもしれません。


家庭内の悩みを「誰に相談したら良いのか」「どこに行ったらサポートしてくれるのか」ということが分からず、家族が孤立している場合があります。


また、「家庭内の事情を他の人に知られたくない」「相談しづらい」という思いから、家族だけで全てを抱えてしまっている場合もあります。


こうした件は、前進するまでに時間がかかったり、継続的な伴走が必要になることもあるでしょう。


こうした相談できる場所があることで、そこから何かヒントが得られたり、精神的な安心にもなって、少しずつ前進していくかもしれません。


◆コミュニティナースとお寺の親和性


善西寺で活動されている「コミュニティナース」の佐藤さん、岡田さん、鈴木さんは、とても楽しそうに活動されていることが印象的でした。


「善西寺に通って、つながりカフェの活動をしていると、心地よい疲れがあって、自分も家族に優しくなれるんです」と岡田さんはおっしゃっていました。


矢田明子さんは、コミュニティナース側の立場的として、お三方にとっても、善西寺や矢田住職とのご縁は良かったのではないかと言われていました。


思いがあっても活動する場所がなかったり、自分たちでゼロからイチを立ち上げることの大変さなど、コミュニティナースとしての難しさもあることでしょう。


そこに、お寺が長年築いてきた信頼やつながりがある中で活動をしていくことは、コミュニティナースとしても良かったのではないかと、矢田明子さんは言われていました。


また、お寺側としても、ご縁ある方々や地域にとって、こういう存在でありたいという思いがありながら、人手などが足りずそれができていないということもあります。


それを、コミュニティナースの方々とのご縁などを通じて、お寺のありたい姿が具現化されていくこともあるように感じました。


やはり、「コミュニティナース」と「お寺」とは、方向性を同じくし、親和性が高いものだと感じます。


◆地域共生社会


何か活動したいと思っている「コミュニティナース」の方と、こうありたいという思いを持っている「お寺」の方とのご縁がつながり、より良い場や地域がつくられていけば良いですね。


今回の勉強会は、お寺としても「コミュニティナース」の取り組みに学び、お寺がこれまでも形成してきたコミュニティの意味や可能性について、見つめ直すきっかけになればと企画しました。


今回は、「ヘルシーテンプル」と「Bラーニング」の共催にて、勉強会を開催しました。


当日まで尽力してくださったコミュニティナースカンパニーの皆様、運営の皆様、ありがとうございました。


そして、ご参加くださった皆様、ありがとうございました。


人と人との縁の希薄化が進み、孤独や孤立を感じる方が増えている日本社会において、「地域共生社会」を実現していくことが大切になっています。


「地域共生社会」を実現する上で必要な要素は、「慈悲」だそうです。


「まさに仏様の出番が来ている」と矢田住職が言われていたことも印象的でした。



 
 
 

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